曇りのち晴れ


  J通信-34 H16.09.24

          

          
   高まるEUへの求心力                                             
                       
  ー イタリア、トルコを訪問しての手記 ー                              

 
 私は、8月22日から31日までの日程で、自民、民主の両党国会対策委員長らと憲法改正の実情を把握することなどを目的として、イタリア、トルコの両国を訪問。

 イタリア、トルコ両国を訪問して、まず強く印象に残ったことは、両国の政治には、EUに対する求心力のようなものが働き、政策決定の大きな要因となっているということだ。
 ローマ市内では、至るところにEU旗が掲げられ,ダストリ在伊欧州委員会代表部代表によると、「イタリア政府が全土の公共の建物すべてに、イタリア国旗とEU国旗を掲揚する規則をつくったからだ」と言う。
 
 イタリアは、ドイツ、フランス、イギリスに続いて、EUの”機関車”役に加わることを目指している。
そのために、政府は欧州憲法条約の批准に積極的な意思を示しているほか、トルコのEU加盟を支持するなど、新たな試みに意欲的に取り込み、存在感を示すことに躍起になっている。
 一方、トルコはEU加盟へ国を挙げて取り組んでいる。加盟の実現へとさまざまな法律改正を行っており、「今後予定されているものには、(欧州憲法)条約の憲法に対する優位性を認める内容もある」(イスタンブールビルギ大学のロナ・アイバイ教授)というほどだ。
 また、現トルコ政権は、イスラム教色の強い宗教政党が単独与党になっている。宗教がEU加盟のハードルになることを避けるため、政治の民主化に力を注いでおり、まさに、EU加盟は、トルコの悲願だと感じた。

 同時に、欧州にEUという極がしっかり固まってくると、世界は米国とEUという2つの極が鮮明になる。それに比べてアジアはどうか。日本、中国、韓国が核となってアジアの平和と安定、均衡ある経済発展に向けた「極」の形成に取り組まなければ、アジアは埋没してしまうのでないか。そんな焦りにも似た感想を抱いた。

 今回、両国を訪問した目的の一つには、憲法改正の実情を調査することもあった。イタリア1948年の共和国憲法の発効以来、これまでに12回の改正を経験している。トルコも87年から今年の5月まで実に9回も憲法を改正した。特徴的なのは、地方分権や選挙など、ある目的に応じてテーマごとに頻繁に部分的に改正を行なっていることだ。日本でいえば、環境権、プライバシー権、私学助成など時代のニーズに合わせて憲法改正のテーマとするようなものだろう。
 
 両国の憲法改正の実情は、人間に例えれば、体型(国のあり方)の変化に応じて衣服(憲法)を”手直し”するような感覚である。それに比べ、日本は長い間、服に体を合わせることにきゅうきゅうとなり、服にもほころびが目立つようになっているのではないか。
 
 例えば、イタリアでは2001年に州の権限を強化する憲法改正を行なったばかりだが、再度与党が同じテーマでの憲法改正を検討している。これに関し、ローマ市内で会談したロマーノ・ヴァッカレッラ憲法裁判所判事は、「01年の改正は政治的な背景が存在し、条文のできも悪く、明確さに欠ける規定が存在する」と指摘しており、憲法改正に対する垣根が低いと痛感した。半世紀以上にわたって憲法をまったく変えなかった日本とは、改正に対する感覚の違いが大きいことは否めないだろう。
                                          
                                       < 9月21日付、公明新聞掲載 >
                                         

 【 読者の声 】

 東さんの記事を拝読しました。「アジアの平和と安定・均衡ある経済発展に向けた”極”の形成に取り組まなければ、アジアは埋没してしまうのでないか」というご感想に全く同感です。この点、日本の働きかけは無策に等しいと言っては言いすぎですが、自民党の今の体質、考え方、歴史認識を変えないのであれば、公明党の大局観に立っての行動を希望します。ーーー略ーーー公明党は、国内にあっては安定した生活実現の政党として努力してますが、外交、アジア外交への取組みが我々には見えず、今後の賢明なる政策・行動を望みます。
                                        奈良市在住の57歳の男性より
            
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